子宮筋腫とか手術

子宮筋腫とか手術

子宮摘出後の骨盤の中は?

また、子宮を摘出した後のお腹の中は、子宮がなくなったスペースに腸が動いて来るだけで、決して空洞ができてしまうわけではありません。例えて言えば、骨盤はお椀のような形をしていて子宮はその底の部分からお椀の中に向かって突出しているようなものですから、この突起がなくなってお椀本来の形に戻るようなものなのです。
右のイラストを参照してもらうとよりわかりやすいかもしれませんね。

さて、卵巣を摘出した場合は後述するとして、卵巣が残っている方はいったい卵巣はどうなっているのかが気になるものと思います。
 卵巣は、もともと二つのじん帯、「卵巣固有じん帯(固有卵巣索)」と「骨盤漏斗じん帯(卵巣提索)」の二つのじん帯によって支えられており、子宮を摘出する場合はこのうち卵巣固有じん帯を切断することになります。したがって子宮を摘出した後は、もう一方の骨盤漏斗じん帯で支えられることになります。骨盤漏斗じん帯のもう一端は仙骨に付着していますから、このじん帯によって骨盤で支えられることになりますし、また卵巣への血管、リンパ管などは卵巣提索内にありますから栄養も確保された状態にあります。
 下のイラストを参照するとわかりやすいかもしれません。

子宮を全摘したらどうなるのでしょうか

子宮の全摘出術は、子宮筋腫、子宮癌や卵巣癌、子宮内膜症(特に子宮腺筋症)などの疾患に対して行う手術で、以下の術式があります。
   1.単純子宮全摘術(腹式、膣式)
   2.膣上部切断術(膣上部子宮摘出術)
   3.広汎子宮全摘術(含・准広汎、亜広汎、超広汎)
 異なるのは3.に関して子宮とともに卵巣や卵管、リンパ節を摘出するかどうかと、2.に関して子宮の出口部分を残すかどうか、という点で、このうち2.については厳密に言えば子宮を全摘出するわけではありませんから「全摘したら?」という部分には当てはまらないことになるのですが、子宮の大部分を摘出することには変わらないので一緒にお話をしたいと思います。

そして、子宮筋腫とか手術

イラストは、単純子宮全摘術を簡単に模式的に描いたものです。
 これを見てわかるように、子宮は膣の方へ一部出口を覗かせている形になっていますから、子宮を摘出すると膣の一番奥の部分に穴があくことになります。これをこのままにしておくわけにはいきませんから、通常は体内で溶けて吸収される糸(吸収糸)でイラストのように縫合します。
 このため、術後から、糸が完全に溶けて傷がしっかりと癒えるまでの間は、おりものに多少の血が混じってもおかしくはないことになります。